黒の世界
ダークエイシス―――
数百年前に起きた宇宙の異常現象。
原因は人類による行き過ぎた研究によるものと言われている。
宇宙が人類に向けた警告なのだろうか…。
この現象により地球には太陽の光が届かぬようになってしまい、数百年にわたる夜だけの世界…黒の時代が始まった。
ピィーピィーピィー
突然警告音がホーム上に鳴り響いた。
「おぃせいちゃん、なにやってんだよ。」
眼鏡を掛けた青年が改札口近くで叫んだ。
「うるへぇ、俺は普通に通ろうとしただけだ。」
せいちゃんと呼ばれている青年は、うろたえつつも必死に返事を返した。
彼らは何故警告音が鳴ったのは分からない様だ。
せいちゃんと呼ばれる青年は、周りのキョロキョロ見回している。
しかし、眼鏡の青年は冷静に解決策を考え答えた。
「しかたねぇ、金払って入って来い。」
「やだ。」
せいちゃんの即答。
「なんでや。」
「金使いたくねぇもん。」
せいちゃんはお金を使うことを拒んだ。
眼鏡を掛けた青年はしばらく考えこんだ。
そして、あの言葉に折れたのかホームから出てきた。
「しゃーねぇ、西京まで歩いて行くか。」
「さっすが、めがね。」
せいちゃんはお金を使わずに済んだせいか、意気揚々と歩き始めた。
その後ろをため息をつきながらも、どこかしら笑うめがねの姿があった。