始まり
「先生、僕は何でこんなところにいるの?」
「それは、生きていく力をつけてもらいたいからですよ。」
真っ暗な荒野にぽつんと光る場所があった。
どうやら焚き火をしているようだ。
その焚き火をはさんで会話している2人の男がいる。
傍らには、でかく黒いバイクがある。
「生きていく力?」
「そうです。あなたは金持ちのボンボンで、服を選んでもらわないと服を決めれないダメ男です。」
「・・・なにがダメなんですか?」
小さい子供がブーたれる。
「その考えがもっともダメですね。」
座っていてもわかる背の高いメガネの男はため息をつきながら言い放つ。
「そんなことでは、この時代を生きていけませんよ。」
「お金があれば生きていけるよ。」
「確かにそうかもしれません。しかし、あなたの頼みの綱のお金はいつか消えます。」
「ええっ!」
本当にびっくりしたのか、小さい子供は目を丸くしている。
「なんでなんで!」
唾を飛ばしながら聞いてくる少年は、まるでオヤジだ。
「落ち着きなさい。いいですか、あなたの家はいつか潰れます。」
「うそっ!」
「本当です。あなたの父上、つまりゴーダさんがいってました。」
「お父さんが・・・?」
父の言葉にショックを受けたのだろう、ボーっとしている。
なかなか忙しい子のようだ。
「あなたは、裕福さになれてしまった。まぁ、生まれたときから裕福だったらそうなるでしょうね。だからゴーダさんは息子さん、つまりあなただ。あなたを心配し、私に強い人間に成長させて欲しいと依頼してきたのです。」
「・・・・・」
少年は、まだボーっとしていた。
「さぁ、明日からこの荒野でトコトン修行してもらいますからね。早めに寝たほうがいいですよ。」
そういうと、背の高い男はバイクから毛布を2枚だし、1枚を少年に、もう1枚を自分が使い眠りだした。
少年は、寝れずに朝までボーっとしていたが、修行が始まると同時にその事を後悔した。