リアカーの老人
「あ、ガソリンがない。」
気づけば後1目盛り。
「どっかにスタンドねぇかな。」
辺りを見回してみたが見るからない。
道の端をリアカーを引いて歩く老人を発見した。
スタンドへの道を聞くため、車を止めて老人に聞いてみた。
「えっ、スタンド?あの『オラオラオラオラ』のスタンドかね?」
どうやら勘違いされたようだ。
というか老人がこのネタを知っているのは驚きだ。
「いや、それはスタンド違いだ。俺が探しているのはガソリンスタンドだ。」
「あぁ、そのスタンドならこの道をまっすぐ行くとあるよ。」
老人が理解してくれて俺はホッとした。
「ありがとう。」
一応お礼を言って、リアカーの老人を見送った。
俺は車のエンジンをかけて走り出す。
「おっ、スタンドだ。」
5分ぐらい走ってたらガソリンスタンドを見つけた。
『セルフサービス』と自慢しているかのごとく看板を掲げている。
その看板の下にリアカーを引いた老人を発見したが気にしないでおく。
スタンドに入ると、すぐにガソリンスタンドのバイト君(1号)が飛んで来てどこに行けばいいか教えてくれる。
指定された場所に車を止めると、バイト君(1号)が近づいてくる。
「レギュラー満タンで。」
窓を開けてバイト君(1号)に注文をする。
「ハイ!ありがとうございます。」
バイト君(1号)は元気な返事をして、レギュラーを入れ始める。
うむ、元気なのはいいことだ。
感心して頷いていると、助手席のところにゴミが居座っているのが目に入った。
「この機会に捨ててやるか。」
思い立つとすぐ行動!
バイト君(1号)は忙しそうなので、その横で暇そうにしているバイト君(2号)にゴミを捨てる場所を聞いてみた。
「ゴミ箱?ゴミを捨てるんですか?それなら僕が捨てますよ。」
「いや、ここセルフでしょ?」
当然の疑問をバイト君(2号)にぶつける。
「暇してましたし・・・。やることなくて困ってたんですよ。」
そういうことなら、と俺はバイト君(2号)にゴミをプレゼントした。
バイト君(2号)は、嬉しそうにゴミを捨てに行く。
仕事をもらえて嬉しいのだろう。
いいことをしたものだ。
「満タンに出来ましたよ〜。」
バイト君(1号)が呼びに来てくれた。
「おぉ、そうか。で、おいくらかね?」
「2600円になります。」
俺は財布から3000円を取り出し、バイト君(1号)に渡す。
バイト君(1号)は、お釣りを持ってこようと走り出したが、俺が
「釣りはいらねぇよ。」
の一言で立ち止まった。
「つまり現金過不足ですね?」
「そのとおりだ。雑益として処理したまえ。」
俺はそう言うと、車に飛び乗り(文字通り)スタンドを後にした。
きっとバイト君(1号)の中で、俺は輝き続けるだろう!
そして、俺は限りある道を走り出した・・・・・